温熱環境について
「家の作りようは、夏を旨とすべし。冬は、いかなるところにも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり」これは、徒然草の一節です。夏過しやすい家とは、風通しが良い家のことを言います。WB工法は、この「風通し」を「通気」というかたちで住まいに取り入れました。
また、「冬は、いかなるところにも住まる」とありますが、現代人はそういうわけに行きません。冬の極端な寒さは、血管疾患を招き命に関わる事もあります。冬の暖かさを保つためには、「断熱」が不可欠です。WB工法では充分な断熱性を確保しております。
本来、通気と断熱は相反する状態となり両立する事は大変難しいとされてきました。しかし、WB工法はこの通気と断熱を両立し、夏冬快適な環境を造りだします。
空気環境について
人間は、気管支呼吸と皮膚呼吸をして生きています。気管支呼吸は空気を体内に取り込み、皮膚呼吸は汗を出すことで老廃物を出し、体温を調節しています。
その人間が家に住むわけですから、家も人と同じように呼吸をしなければ健康に住むことはできません。気管支呼吸のように壁の中に空気を通して、皮膚呼吸のように壁から湿気を排出する。この二つの呼吸で室内の有害物質を排出しクリーンな室内環境を造りだします。
できるだけ電力を使用しないために、WB工法の仕組み
WB工法は、夏は自然におこる上昇気流を利用して建物内の無駄な熱を排出し、冬は暖房した空気を逃がさないよう開口部を閉じることで、冷暖房に使う電力を出来るだけ減らせるよう工夫しております。また、夏と冬の切り替えを行う際に必要となる換気口の開閉も電力を使用しないよう、熱感知式形状記憶合金を採用しております。自然の温度を感知して自動的に開閉できる仕組みは、これからの節電対策として重要な仕組みです。
*熱感知式形状記憶合金とは・・・チタンとニッケルを合わせた合金で、耐久性に優れており、錆びることがないためどの地域でも安心してご利用いただけます。
エアコンの省エネ効果実験
断熱性能が同じ2棟の建物を使用して、エアコンの省エネ効果を実験したデータです。写真の左側が室内壁の仕上げ材に透湿性クロスを使用したWB工法。右側が室内壁の仕上材にビニールクロス使用した一般住宅。両方の室内で大人一人が生活していると仮定し、エその際にアコンを使用した場合の効率を実験しました。
仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の気候条件を元にシュミレーションを行った結果、平均で約15%のエアコン使用の削減効果が得られました。
夏の過ごしやすさを得るためには、ビニールではなく透湿性のある壁材が有効だということがわかります。
通気透湿仕様の建物では、壁が湿気を逃しているため室内の湿度が低く抑えられ、冷房潜熱負荷の50%近く削減されるため、冷房の負荷も15%近く削減される事が認められました。
高温多湿の日本の気候風土で夏場快適に過すためには、土壁のように湿気を吸ったりはいたり、外に逃したりしてくれる機能が大切だということがこの実験からわかります。
ホルムアルデヒドの透過実験
ワンダーベース内実験棟の室内にホルムアルデヒドを充満させ、室内のホルムアルデヒドの時間変化を測定した結果です。
ホルムアルデヒドが湿気と共に、透湿性の壁を通して屋外に抜けていったため、通気性と透湿性のある建物では、約48 時間後には厚生労働省の指針値(0.08ppm)以下に下がっている事が確認できます。
ビニールクロスを使用した室内では、ホルムアルデヒドが室内にこもり濃度が下がっていく事はありません。このような状態ではシックハウスの危険性があるため、24 時間換気を常に回しておく必要がります。
空気環境の違いにおける植物実験
通気性と透湿性のある部屋の植物は、花は落ちるものの枯れることはありませんでしたが、ビニールクロスで覆われた部屋では、2週間で根まで枯れてしまいました。
アンモニア臭の臭気損失実験
測定条件
ワンダーベース内実験棟を密閉状態にして、アンモニア水(28%)溶液5mlを濾紙の入ったシャーレに入れ部屋の中央床上18cmに設置し、出入口左側床上1.5mの位置にてアンモニアを採取した。
採取間隔―アンモニア溶液設置後0.5・1.0・1.5・2.0・3.0・4.0・5.0で行った。室内の温度湿度測定は、室内空間の中央部で10分間隔で測定。各部屋に人体君(発湿量50cc/h運転)設置。
測定方法
特定悪臭物質の測定の方法準拠(昭和47年環境庁告示第9号)
最初は両者とも24時間換気を回した状態にしておき、9:40に24時間換気を停止させてみました。
透湿高気密の部屋では、換気を止めても湿度にほとんど変化がないが、非透湿高気密の部屋は湿気の逃げ場がないため、湿度がどんどん上昇しているのがわかります。
また、臭気においても透湿高気密の部屋では、若干臭気が上がるものの非透湿高気密の部屋に比べて1/2程度におさまっており、減少スピードも速いこともわかります。
WB工法では、室内でペットを飼っている場合でもペットの匂いが少ないといわれますが、まさにこの実験がそのことを証明しています。